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Nreal Airを装着したところ

ARグラス「XREAL Air(旧製品名:Nreal Air)」実機レポート!つまずきがちな設定方法も解説

ARグラス XREAL Air(旧製品名:Nreal Air)

ARグラス XREAL Air(旧製品名:Nreal Air)

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ARゴーグル
公開日:2022年8月3日(2023年6月1日更新)


サングラスのように気軽に装着できるARグラス「XREAL Air」を専門家が実機レポート。つまずきがちな設定方法も、順を追って解説します。「Nreal Streaming Box」もいち早くテスト!

1 話題のARグラス「XREAL Air(旧製品名:Nreal Air)」ってナニモノ?

■メガネのように気軽に装着してAR体験ができると好評

手軽にAR(Augmented Reality :拡張現実)を体験できるスマートグラス「XREAL Air(エックスリアルエアー)」が2022年3月に発売されました。メガネのガラスと目の間に半透過型ミラーを搭載しており、そこでディスプレイの映像を反射させることで、現実の世界の中に仮想現実の世界を投影したARの世界を体感できるという製品です。

XREAL Airの全体写真

△XREAL Airはちょっと大きめのサングラスのようなフォルムになっており、ガラスの手前にハーフミラーを搭載しています

XREAL Airの興味深い点は、その使い方にあります。

XREAL Air本体には単眼1920×1080 ピクセルのOLED(有機EL)ディスプレイ2枚と半透過型ミラー、センサーなどを搭載していますが、本体にはバッテリーを搭載しておらず、基本的には対応するスマートフォンをUSBケーブルで接続して使用するのです。

つまり、スマートフォンの外部ディスプレイとして接続し、スマートフォンの映像処理能力を利用してAR映像を表示するというわけです。

そのため、幅148×奥行き52×高さ60mm(折りたたみ時)、重さ約79g(付属品除く)と軽量コンパクトに仕上がっています。

XREAL Airを下から見たところ。半透過型ミラーの奥に小型ディスプレイを搭載しています

△XREAL Airを下から見たところ。半透過型ミラーの奥に小型ディスプレイを搭載しています

対応するスマートフォンは映像処理能力の高いモデルに限られていることと、iPhoneシリーズに対応していないのが残念な点ですが、映像処理を行う独自開発の本体を持たないことで、実勢価格45,980円 (税込)という低価格を実現しています。

ちなみに対応するスマートフォンがないユーザー向けに、映像をXREAL Airに出力できる「Nreal Streaming Box」(以下Streaming Box) という製品も提供されています。本記事ではStreaming Boxの使い勝手も含めて、後ほど詳しく紹介しましょう。

■なぜ今メガネ型デバイスが注目されているの?

メガネ型のウェアラブルデバイスは注目度が年々高まっているジャンルで、新製品も多く登場してきています。

たとえば音楽を楽しめるものとして、Boseの「Bose Frames」やAnkerの「Soundcore Frames」といったつるの部分にスピーカーを搭載するメガネ/サングラスもありますし、メガネメーカーのJINSからは自分の心と体の状態を知り、自分で整える“セルフケア”ができるスマートグラス「JINS MEME」なども登場しています。

映像を楽しめるデバイスでは、2010年代初頭にセイコーエプソンの「MOVERIO(モベリオ)」シリーズ、ソニーの「Personal 3D Viewer」などが登場し大きな話題になりました。ここ数年注目度が高まっているVRでは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「PlayStation VR」シリーズやMeta(旧Facebook)の「Meta Quest」シリーズなどが人気になっています。

ARグラスも、Googleが2010年代初頭に開発した「Google Glass」は一般販売まで至りませんでしたが、Magic Leapが開発した「Magic Leap 1」は2020年にNTTドコモでの販売をスタートしました。今回登場したXREAL Airは、そんな中で登場した注目株といったところです。

メガネ型デバイスが増えている理由のひとつは、慣れ親しんだメガネのように気軽に身につけられる「装着性の良さ」でしょう。VRヘッドセットも小型化したとはいえ、目の周りをぐるりと取り囲むスタイルはまだ馴染みのない方が多いはず。それにメガネ型デバイス自体も、登場時に比べて小型軽量化が進んでいます。

もう一つはスマートフォンの機能・性能向上にあります。スマートフォンには加速度センサーやジャイロセンサー、GPSなど数多くのセンサーが搭載されており、映像処理能力も高いです。しかも、Bluetoothで音声を伝送できるだけでなく、USBケーブル経由で映像を伝送することも手軽にできるようになりました。そのため、メガネ型デバイス本体に映像処理エンジンなどを搭載しなくてもよくなり、低コストで軽量コンパクトなメガネ型デバイスが作れるようになったのが大きな要因だと思われます。

表示デバイスのOLEDディスプレイの小型化や薄型化、低消費電力化が進むことから、今後さらに様々なメガネ型デバイスが登場すると期待されます。

XREAL Air(旧製品名:Nreal Air)
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2 「XREAL Air(旧製品名:Nreal Air)」実機レビュー

では、改めてXREAL Airの使い勝手を実機を使って紹介していきましょう。本機を初めて使う際、つまずくところが多数あると思います。そんなときどうしたらいいかについても、順を追って解説していきます!

■XREAL Airの初期設定には対応スマホが必須

XREAL Airをフルに楽しむために必要になるのが、高性能スマートフォンです。現在の対応機種 は、サムスン電子の「Galaxy」シリーズやソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia」シリーズなど一部の機種に限られています。

今回はNTTドコモの「SC-51B(Samsung Galaxy S21 5G)」を使用しました。

XREAL AirをNTTドコモの「SC-51B(Samsung Galaxy S21 5G)」と接続したところ

△NTTドコモの「SC-51B(Samsung Galaxy S21 5G)」と接続したところ

まずはXREAL Airを使うために、専用アプリ「Nebula」をインストールし、付属のUSB Type-Cケーブルでスマートフォンと接続します。

Nebulaアプリの起動画面

△Nebulaアプリの起動画面

XREAL Airのつるの部分

△USB Type-Cケーブルは片方の端がカーブしており、XREAL Airのつるにぴったりと沿うようになっています

左のつるにはスピーカーと電源ボタン、明るさ調整ボタンを搭載△左のつるにはスピーカーと電源ボタン、明るさ調整ボタンを搭載しています

右のつるにはスピーカーを搭載△右のつるにはスピーカーを搭載しています

XREAL Airとケーブルを付属のケースに収納しているところ

XREAL Airとケーブルを付属のケースに収納しているところ

△XREAL Airとケーブルは付属のケースにコンパクトに収納でき、安全に持ち運べるようになっています

では、装着してみることにしましょう。

■装着感はとても良好!違和感はほとんどなし

XREAL Airを装着したところ

△XREAL Airを装着したところ

XREAL Airの見た目はちょっと大きめのサングラスという感じですが、装着して外から見ると、サングラスが通常より前に出ている感じがあります。しかしユーザー側は装着していて違和感はほとんどありません。

XREAL Airを装着したところ

△普通のサングラスより前に出ているため、外から見ると少し変に見えるかもしれませんが、装着していて違和感はありません

■Nebulaアプリが起動しない?! そんなときはこうしよう

ただ、Galaxyとケーブルで接続したところ、いきなりトラブルが発生しました。「Samsung DeX」というアプリが起動し、XREAL Air専用の「Nebula」アプリが起動しないのです。Samsung DeXはサムスン製スマートフォンにディスプレイを接続してパソコンのように使えるアプリです。ディスプレイケーブルをGalaxyに接続するとSamsung DeXが起動する設定になっており、これをオフにしないと次に進めないようです。

Galaxyの「設定」メニューを開いて「接続」>「その他の接続設定」>「HDMI」で「Samsung DeX」から「画面共有」にすると、NebulaアプリとSamsung DeXとのバッティングがなくなりました。 初期状態ではクイックパネルにDexボタンがあるので、そこでオフにするのもよいかと思います。

ほかのスマートフォンでも、外部ディスプレイを接続したときに何らかの専用アプリが起動してNebulaアプリとバッティングする可能性がありますので、もしうまく起動しない場合は接続設定などを見るといいでしょう。

XREAL Airを接続したGalaxyの設定メニューからHDMI設定を変更したところ

△Galaxyの設定メニューからHDMI設定を変更したところ。うまくつながらない場合は、このような接続設定を確認するといいと思います

■「MRモード」「Air Castingモード」どちらかを選択

無事に起動すると、スクリーンとスマートフォンの画面の両方に「MRモード」と「Air Casting」の2つが表示されます。この時点では、ユーザーが頭を動かしても常に真正面にスクリーンが固定されています。

Nebulaアプリの起動画面

△Nebulaアプリの起動画面。MRとAir Casting、2つのモードを選べるようになっています

Air Castingモードはスマートフォンの画面をそのまま表示するモードで、スマートフォンのほとんどのアプリをそのまま目の前のスクリーンに表示できます。手元のスマートフォンは通常の画面になっており、スマートフォンの画面がそのままXREAL Airにも表示されます。

■ついに目の前に大画面が!解像度も申し分なし

YouTubeアプリで動画を再生し、全画面表示にして画面を回転させると、目の前の大きなスクリーンで動画を楽しめます。画面解像度は1920×1080ピクセルが2枚なので、すごく精細でなめらかな映像という印象を受けます。

画面サイズは、公式では4m先に130インチのスクリーンがあるくらいの大きさだとしています。実際に仕事場にある24インチテレビの画面と比較して計測したところ、約70cmの距離に24インチの画面が表示されている感じになりました。単純計算すると、3.5mの距離に120インチといったところなので、ほぼ公称通りという感じです。遠くに大スクリーンが見えるのか、近くにそこそこの大きさのスクリーンが見えるのか、感じ方は人それぞれかと思いますが、寝っ転がりながらでもYouTubeを楽しめるというのは結構楽しい使い方かもしれません。

■MRモードは面白い!コンテンツは今後の拡充に期待

続いてMRモードを試してみましょう。MRモードを起動すると、目の前の大きなスクリーンに複数のメニューアイコンが並んで表示されます。スクリーンは頭を動かしても常に起動時に向いていた方向に固定されます。

XREAL AirのMRモードを起動したところ

△MRモードを起動したところ。このように実世界の中に画面が表示されます

MRモードではスマートフォンが操作インターフェースになります。スマートフォンを上下左右に動かすと、スクリーン上に光の線で表示されているポインターが動き、スマートフォン画面上のタッチパッドで決定操作やピンチイン・ピンチアウトなどの操作を行えます。タッチパッドの下にあるホームボタンを2回押すと、スクリーンの位置をそのとき見ている真正面に修正できます。

XREAL AirのMRモードのホーム画面

△こちらはMRモードのホーム画面をキャプチャーしたもの

XREAL AirのMRモードでスマートフォンを操作インターフェースとして使用しているところ

△MRモードではスマートフォンが操作インターフェースになり、画面がタッチパッドとホームボタンになります

XREAL Airを装着しているところ

△スマートフォンを上下左右に動かしてポインターを動かし、画面タッチで決定するといった操作になります

MRモードには、サイクリングを擬似的に体験できるアプリがインストールされているため、試してみることにしました。このアプリは北アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オーストラリアのさまざまな場所をサイクリングで回れるようなコンテンツになっています。動画を再生するだけのコンテンツですが、フィットネスバイクに乗りながら再生すれば、素敵な景色を見ながらトレーニングができるのが魅力です。

XREAL Airでサイクリングアプリを起動したところ

△サイクリングアプリを起動したところ

XREAL Airでサイクリングアプリを楽しんでいるところ

XREAL Airでサイクリングアプリを楽しんでいるところ

△さまざまな情報を表示しながら、動画とともにサイクリング気分を味わえます

そのほかに韓国アーティストの動画などもプリセットされていましたが、まだMRモードのコンテンツは少ないようです。今後の充実に期待したいところですね。

XREAL Air(旧製品名:Nreal Air)を
レンタルして使ってみよう

3 非対応スマホでもXREAL Air(旧製品名:Nreal Air)が使える!「Nreal Streaming Box」も試した

XREAL Airを利用できるスマートフォンはUSB Type-Cケーブル経由で映像を伝送できる機種に限られるため、アップルの「iPhone」シリーズなどでは利用できません。また、対応するスマートフォンの機種も限られています。そこで、対応機種ではないスマートフォンでも画面をワイヤレスでXREAL Airにミラーリングできる別売の「Nreal Streaming Box」が用意されています。

※Nreal Steaming Boxのサポート対象はiOS 11.4以降のデバイス、Mac OS 10.14以降のデバイス、一部のAndroidデバイス、Windowsデバイスとなります。詳しくはNreal社のサイトをご確認ください。

Nreal Streaming Boxの本体△Nreal Streaming Boxの本体

Nreal Streaming Boxはベルトなどに引っ掛けられるようになっています△ベルトなどに引っ掛けられるようになっています

Nreal Streaming BoxをXREAL Airと接続したところ

△Nreal Streaming BoxをXREAL Airと接続したところ

■まずは接続&設定

まずNreal Streaming BoxとXREAL Airを付属のUSB Type-Cケーブルで接続します。続いてNreal Streaming Boxの電源ボタンを長押しして電源をオンにしてから、電源ボタンをダブルクリックしてホットスポットをオンにします。

Nreal Streaming Boxを接続し、XREAL Airのスクリーンに設定方法が表示されているところ

△Nreal Streaming Boxを接続すると、XREAL Airのスクリーンに設定方法が表示されます

続いてスマートフォンのWi-Fi設定画面を開き、XREAL Airのホットスポットに接続します(パスワードは12345678)。

スマートフォンのブラウザーから「192.168.1.1」を入力して接続すると、Nreal Streaming Boxの設定画面が表示されるので、自宅など利用するWi-Fiの接続設定を入力して保存すれば設定完了です。続いてNreal Streaming Boxの電源ボタンをダブルクリックしてホットスポット機能をオフにすると、ミラーリング機能を利用できるようになります。

■iPhoneでXREAL Airを使ってみると…

iPhoneでYouTubeを再生し、キャスト先として「AirPlay & Bluetooth devices」からXREAL Airを選択したところ、画面が表示されるようになりました。電源ボタンをダブルクリックしてホットスポット機能をオフにしないと再生できないなど分かりにくい部分はありましたが、一度設定してしまえば普通に利用できるようになります。

Nreal Streaming boxを使ってiPhoneからAirPlayでミラーリングしているところ

△iPhoneから無事にAirPlayでミラーリングできました

ただしNreal Streaming Boxの利用にはWi-Fi接続環境が必要になるため、XREAL Airとスマートフォンとの組み合わせのように、いつでもどこでもARの世界に入り込めるわけではありません。自宅だけでなく、外出先でもミラーリング機能を楽しみたいのであれば、別途テザリングできるスマートフォンやモバイルルーターを用意する必要があります。

とはいえ、一度設定すれば気軽にARを楽しめるようになるので、XREAL AirとNreal Streaming Boxの組み合わせもなかなか好印象でした。

XREAL Air(旧製品名:Nreal Air)を
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4 XREAL Air(旧製品名:Nreal Air)は今後どうなる?Nreal担当者に聞いた

■「AR体験の最初の1台」になってほしい。今後拡充も予定

Nreal Japanの担当者に気になる点を質問してみました。XREAL Airは、2020年12月に発売した「Nreal Light(エンリアル ライト)」の小型軽量化版ですが、XREAL AirとNreal Lightの位置付けはどういう違いがあるのかについて、担当者は次のように説明してくれました。

「Nreal Lightは、国内では元々ビジネス向けに販売開始したもので、コンシューマーが日常的に使うには設定の時点からハードルが少し高いものでした。それに比べてXREAL Airは、スマートフォンに接続するだけで起動し、簡単に使用できるようになっています」(Nreal Japan担当者)

ターゲットとなるユーザー層については、「幅広く一般の方にARに触れていただきたいという思いから、ユーザーは特定していません」とのことです。

「ARがまだ浸透していない中で、ARを日常にするためのファーストステップ・ガジェットとして、気軽にお楽しみいただきたいです。さらにARグラスをお楽しみいただけるよう、3Dコンテンツのリリース、アップデートも順次行っていきます」(Nreal Japan担当者)

■好きな場所で映画やアニメを大画面で観られることが好評

XREAL Airのおすすめの楽しみ方については、「基本的に『どこで』『何を観る』かはユーザーの方々が思いつく限りの楽しみ方が存在すると考えております」とのことですが、現在最も要望の多い用途は次の通りだそうです。

「自分の好きな場所で、映画やアニメ、クラウドゲーミングを大画面で視聴したいという要望を多くいただいています。中には障害のある方や寝たきりの方からもARが楽しまれているという声もいただいています」(Nreal Japan担当者)

Nebulaアプリの MRモードに対応するコンテンツは現在開発中とのこと。

「SmartCity & 観光」コンテンツとして観光地・博物館・展示会、観光案内やナビゲーション、通訳やAI(人工知能)、「エンタテインメント」コンテンツとしてはイベント・スポーツ、ゲーム、映画・TV・音楽、「教育」コンテンツとしてトレーニング、学校・医療・研究所、体験学習、「リモートワーク」として遠隔支援サポート、会議・プレゼンテーションなどを今後充実させていく予定とのことでした。

◇ ◇ ◇

「XREAL Air」は、現状ではまだ発展途上な部分はあるものの、対応スマートフォンがあればすぐに利用できる手軽さは十分に感じました。すごく興味があるけど、どのくらいの画面で楽しめるのか、使い勝手はどうなのか、自分のニーズに合う製品なのかが気になる……そんな方に向けて、kikitoではレンタルサービスも提供しています。購入前にレンタルしてみて、一度試してみてはいかがでしょうか。

※2022年6月時点での情報です。
最新情報について、詳しくはメーカーのホームページでご確認ください。
※表示金額はすべて税込価格です。
※商品写真および画像はイメージです。

取材・執筆

安蔵靖志

安蔵靖志

IT・家電ジャーナリスト。家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」に出演中。その他ラジオ番組の家電製品リサーチや構成などにも携わっている。


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